甘々王子に懐かれた!?
「優茉は、恋しないの?近くにいるじゃん、超かっこいい男の人が」
幸の言ってる人は、朝一緒に歩いてきた、あの先輩だ。
「恋しないよ。今は、聞いてるだけで十分だもん」
「嘘をつかないでよ、高校生と言ったら恋愛だ!とか言ってたの、どこのどいつよ?」
――――うっ
それを言ったのは、もしかしなくとも私。
高校生に夢をみていたあの頃の私……、馬鹿だったなぁ。
「八田先輩と付き合ったらいいのに」
「やだよ、あの人とは……」
あの人と付き合ったら、どうなることやら……。
絶対疲れる。というか、あの人、私の事好きじゃないでしょ、まず。
きっと、からかいたいだけなんだ。
だって、私と言ったら悲しいことにぜーんぶ並だからね。
先輩とは、住んでいるところが違うよ、全く。
「あの先輩を嫌う理由が分からないよ。あんなに素敵なのに」
「甘すぎるし、鬱陶しいもん」
「甘いところがいいんでしょーが!」
分かってないねぇ、とため息をつく幸。
分かってないって……、あの甘々すぎるところがいいとか。
一生わからないよ、あんなの。
私はどっちかというと、少し俺様っぽい人がいいなぁ。
あんなのただの自己中心的な奴でしょ、とか言う人もいるけど、そこがいいんだけどな。
「あ、幸。英語のノート見せて!」
「いいよいいよ。優茉のことだから、絶対わからないだろうなって思ってたし」
そう言って二人で笑う。
いつもの通りの朝です。