甘々王子に懐かれた!?
言いに行くならば、私だけでいい。
わざわざ、幸を危険な目に合わすわけにはいかない。
――――そう思って止めたのだけど、不満があるらしい。
「さあ、早く下駄箱を見て。そして、私があいつらの元へ……」
そう言って、悪そうな悪魔の笑い声が聞こえてくる。
「怖いよ、幸」
といった私の声は聞こえてないらしく、一人で楽しげに笑っている。
嫌だなぁ、もう。
ここまできた幸は、もう止められない。
「あれ……?」
下駄箱を見て、私は首を傾げた。
だって、あるはずのものがないんだもん。いつもはあったのに……。
「どうしたの?」
「紙が、紙が一枚もないの」
そう、これまでずっと入れられていた暴言の書かれた紙がない。
上靴を取り出して、上靴の中を覗いても入っていない。
「はあ?そんなわけ……」
幸もわたしの下駄箱を覗くが、目をぱちぱちさせて首を傾げた。
そして、私たちの思ったことは――
「「教室が危ない!」」
だった。
もしかしたら、教室でとんでもないことが起きているかもしれない。
そう考えたのだ。