甘々王子に懐かれた!?


言いに行くならば、私だけでいい。


わざわざ、幸を危険な目に合わすわけにはいかない。




――――そう思って止めたのだけど、不満があるらしい。




「さあ、早く下駄箱を見て。そして、私があいつらの元へ……」




そう言って、悪そうな悪魔の笑い声が聞こえてくる。




「怖いよ、幸」




といった私の声は聞こえてないらしく、一人で楽しげに笑っている。


嫌だなぁ、もう。


ここまできた幸は、もう止められない。




「あれ……?」




下駄箱を見て、私は首を傾げた。


だって、あるはずのものがないんだもん。いつもはあったのに……。




「どうしたの?」




「紙が、紙が一枚もないの」




そう、これまでずっと入れられていた暴言の書かれた紙がない。


上靴を取り出して、上靴の中を覗いても入っていない。




「はあ?そんなわけ……」




幸もわたしの下駄箱を覗くが、目をぱちぱちさせて首を傾げた。


そして、私たちの思ったことは――




「「教室が危ない!」」




だった。


もしかしたら、教室でとんでもないことが起きているかもしれない。


そう考えたのだ。
< 50 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop