甘々王子に懐かれた!?
「俺のところに来たということは、おわったんだね?」
「はい、おかげさまで」
「良かった」
目尻を下げて、私を見る先輩に胸が小さく鳴る。
私、どうしちゃったの?
気のせい、気のせいだよね。
「俺はこれから気軽に会いに行ける!」
「来なくて結構ですけど」
そういや、先輩、最近来てなかったな。
我慢してくれて……って、なに、先輩が私のこと好きみたいなこと自分で言ってんの!
ただ、会いたくなかっただけかもしれないのに。
「それでは、また」
そう言って帰ろうとすると、手首に痛みが走った。
「まって。一緒に帰らないの?」
「はい?」
「一緒に帰ろ?」
ウルウルと子犬のような瞳で見られると、断れなくて……。
私はしっかりと頷いてしまったのだ。
――――――
「久しぶりだね、一緒に帰るの」
そうですね、と私は短く答えた。
それでも先輩は嬉しそうで、私の頬は少し緩んだ。
「明後日から夏休みだね、楽しみ?」
「まぁ、そうですね。ゆっくり寝れるので」
「えぇ、寝ちゃうの?遊ぶ時間に費やそうよ!」
「寝る方が好きです」
私はきっぱりと断った。
少し、先輩と遊んでみたいなという気持ちはあったが、すぐに消した。
気のせい。気のせい。先輩のことなんか、好きにならないもん。