甘々王子に懐かれた!?
「えーっ、俺と遊ぼうよ?」
「嫌です」
「俺も嫌」
「私も嫌です」
お互いにいやいやと断るものだから、無限ループしていく。
三十回くらいになったところで、折れた。
……先輩が。
「ちぇ。いいよ、別に。また誘いに来るから」
誘いにくる?わざわざ、誘うために来るってこと?
あっついのに……。
「わざわざ来るんですか?」
「さあ?電話するかもしれないよ?」
「電話番号知らないでしょうに」
知ってたら怖いよ。
知られてたら私、警察に通報しちゃうよ。
「じゃあ、そう思ってたらいいよ。また明日ね、優茉ちゃん」
「はぁ……。はい、また明日」
――――――
「なななんで、なんで知ってる……んですか」
『珍しく優茉ちゃんが動揺してるんじゃん!やった、俺の勝ちだね』
夏休みが始まって三日がたった今日。
いつものように朝の九時に起きて、テレビをつけて録画をしていた番組を見ていると、私の携帯が鳴った。
幸かな?と思いつつも、丁度いい場面だったので無視をしていると、何度も何度もなり続けるものだから、一時停止ボタンを押してスマホを覗き込んだんだけど……。
そこに表示されていた番号は、全然知らないところからで。
誰だよ!?って思い、拒否ボタンを押そうとしたら間違えて通話ボタンを押しちゃって。
電話越しに聞こえてきた声は、とてもとても聞き慣れた声だった。