甘々王子に懐かれた!?
「どうしたの?」
明らかにお母さんの様子がおかしい。
聞いたことが、あるの……?
「いや、なにもないわ。それより、時間大丈夫なの?」
お母さんの指さした時計を見ると、時計の針は八時三十分を指していた。
私が出る時間は八時四十五分。
歯磨きなどの準備はまだ終わってない。
「大丈夫じゃない!」
慌てて洗面所に駆け込んだ。
そんな私には聞こえなかったんだ。
お母さんが言っていた言葉を――――。
「慎助くん……」
――――――
「優茉ちゃーん!私服姿可愛すぎるんだけど!」
それ前も聞いたけど……。
あのあと、私は無事出る時間に間に合い、駅前にも五分前に着けたのだけど、それより先に先輩は来ていた。
先輩の私服姿はまだ見慣れなくて、不覚にもドキッとする。
だって、シンプルなジーパンに少し大きめの単色の服は先輩に似合いすぎてるんだもん。
ドキッとしちゃうのも無理はないよね?
「先輩の方が、素敵ですけど」
「優茉ちゃんが俺を褒めた!?やっばい、今日幸せだ」
今日はこれから始まるんですけどね。
私はキャーキャー言ってる先輩を放って、切符売り場に向かう。