甘々王子に懐かれた!?


「先輩、どこでしたっけ?」




「忘れたや」




てへぺろと舌をお茶目に出して、右手を頭にコツンとするもんだから、私はイラァッとして睨みつけるとごめんなさいごめんなさいと頭を下げてきた。


さっさと教えてください、と急かすと、駅名を忘れていたのは本当のようで八百四十円のところだと言ってきた。




「ありがとうございます。先輩は切符いらないんですか?」




「うん、あるからね!早く行こっ」




楽しみだなぁと先輩は幼児のようにあどけなく笑う。


〝そういうところ、好きだなあ〟




「え?なに、え?ちょっと」




「はい?どうかされたんですか?トイレですか?」




改札口を通り、少ししたところで先輩が焦った顔で振り向いた。


トイレでも行きたいのかと聞くと、フルフルと首を横に振られた。




「違う違う!あれ……?今、好きだなあって言わなかった?」




……。


もしかして、心の中で思っていたことが口に出てた?




「なんて、言ってました……?」




「そういうところ、好きだなあって。もしかして、浮かれすぎて幻聴でも聞こえてきちゃったのかな?」




ほんの少し顔を赤く染めた先輩は、頬をかいて照れていた。
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