甘々王子に懐かれた!?
マイバースデー
「お久しぶり、元気にしてた?」
夏休みが明け、学校が始まった。
教室に行くと、幸が私の机に座って待っていた。
幸は久しぶりって言うけれど、それほど久しぶりなわけじゃない。
だって、夏休み中、遊んで遊んで遊びまくったんだから。
「お久しぶりっていうほどじゃないけどね。元気だよ」
机にリュックを置きながら返事をする。
頬杖をついている幸の腕をひょいと移動させ、リュックを横に倒す。
「で?どうだったのよ、今年の夏は」
「いつもと変わらなかったけど?」
「ちーがーう!先輩のことだよ、先輩!あの先輩のことだから、一ヶ月も優茉と離れられないでしょ?」
「なにもなかったけど……?」
付き合い始めましたいえーい!なんてことは全くなかったし。
遊んだのは、たったの一回遊園地に行っただけ。
先輩、約一ヶ月私と離れられていたけどなあ……。
「はー?本っ当になにもないの?なにも?ゼロ?」
クワッと、恋愛話が好きな幸は私に詰め寄ってくる。
何もないよゼロだよ!
……いや、ゼロってわけじゃあないかも?