甘々王子に懐かれた!?


なんで、私のところなんかに……。




「まぁ、優茉を選ぶってことは八田先輩、見る目あるよ」




「私なんかを選ぶとか、ある意味すごいよ。先輩の目が心配だね」




「ある意味じゃなくて、凄いの。私、男だったら、絶対優茉選ぶしー」




こうも直球で言われると、照れるよ。


ありがとう、とぎこちなく言うと、幸はそこがまたいい!とかなんとか言って、悶えていた。


絶対、私なんかより幸のほうがいいと思うんだけどなぁ。




――――――




先生の話が終わり、帰り支度をしていた途中、事件は起きた。


そう、これまで、あの先輩は私の教室には来なかった。


これは、彼なりに気遣ってくれているのかと思っていたのだが、それは思い違いだったようだ。




「ちょっと!なんで王子がここに?」




「きゃーっ、王子だ!」




女子が教室の後ろの扉を見て騒ぎ始めた。


〝王子〟と言って。


この学校に王子と呼ばれる人はたった一人だけ。


そのたった一人は、今朝一緒にいた人物。




「優茉ちゃんいる?」




私の学校生活、終わりました。




「優茉?先輩が呼んでるけど……、大丈夫?」




「ああ、うん、呼んでるね」




幸の〝大丈夫?〟は何に対してなのか。


それを考えようとしても、目の前にいる人物に全てが持っていかれて考えられない。
< 8 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop