甘々王子に懐かれた!?


なんで私がこんな目に……!


でも、でも、先輩がセリカさんの特別になるということ。


先輩の特別がセリカさんになるということ。


先輩が当たり前のように私のそばにいることがなくなるということ。


先輩の独特な会話を聞ける機会が減るかもしれないこと。


こうなることは、なんでか知らないけど嫌だ。


ううん、なんでか知らないわけじゃない。


知ってる。私は――




「先輩、私、もうとっくに恋に落ちてたみたいです……」




先輩を〝好き〟になったんだ。


初めは腹を立ててたよ。そりゃそうだよね。


だって、ターゲットなんて言われて。


家まで来られて。


話す時のテンション……いや、そばにいる時のテンションは高くて。


バカでアホでボケてて。


私の気持ちなんか理解してなくて。


でも、それ以上に素敵なところを見つけてしまったんだ。


飽きずに私のところに来ては楽しそうに話して。


私のことを分かろうとして。


私を守ろうとしてくれて。


無邪気で、子供っぽいくせに時々私を惑わせる。


そんな先輩が好きだ。


先輩は私のことを本気なのか分からない。


でも私は本気になった。




『優茉ちゃーん!』




かっこいい顔を台無しにして、顔をふにゃりと崩す。


台無しなのに。それなのに。


脳裏に焼き付いた先輩はカッコ良く見えます。


セリカさんには……渡したくない!
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