甘々王子に懐かれた!?
Ⅲ
神崎 芹香
【慎助side】
「慎助の隣を歩くなんて、久しぶり。懐かしいわ」
計画が上手くいったことを嬉しがっているのか、俺が隣にいるのが嬉しいのか、どちらかは分からないが、隣にいる奴が嬉しそうにしていることは間違いのない事実。
隣にいる奴は、芹香。俺の、元カノ。
「あらら、そんな顔してるとイケメンが台無し。そんなに嫌?私と一緒なのは」
ああ、嫌だよ。
しかも無理やり連れてこられて、隣に歩かされてるんだ。
不愉快極まりない思いをしてるよ。
今日は優茉ちゃんの誕生日であり、俺の誕生日でもある。
俺の誕生日はどうでもいい。毎年楽しみにしていた今日は、今年は別のことで舞い上がっていた。
あの優茉ちゃんの誕生日なんだよ?
優茉ちゃんが生まれた特別な日。どれだけ今日を楽しみにしていたか……、きっと誰にも分からない。
一週間ほど前に等身大パネルはどうかと言ってみたが、却下された。
まぁ、それは予想内でありまして。
それから別の誕生日プレゼントを用意したんだ。
優茉ちゃんに似合いそうな蝶々のイヤリングに、俺の手作りケーキ。
ホールだよ?ホールケーキ。優茉ちゃんが見たら、「私より女子力高いとかふざけてるんですかね」と言ってきそうだなぁとか考えながら作ったんだ。
それで、今日は一緒に帰る約束をしてお祝いしようとしていたのに……。
芹香によって阻まれた。