甘々王子に懐かれた!?
「はっくん行くよー」
本当にここの店を予約していたようで、席に案内された。
周りにはたくさんのカップルがいて、俺達もカップルに見えんのかな……とか考えたりしてしまった。
こんなところに、俺、制服で来てんだって。
普通はスーツとかビシッと決めてくるもんだよね。
現に、芹香はいつもよりオシャレをしているし。
……優茉ちゃんが俺のスーツ姿見たらなんていうかな?
似合わないですね、って言うのかな。
「はいっ、何頼んでもいいよ!ここでのご飯が私からのプレゼントだから。お誕生日おめでとう、はっくん」
「……ありがとう」
「私、ここに来てみたかったんだよねー」
目をキラキラさせながら店内を見渡す芹香。
店内はきらびやかで、俺が来るには勿体ない場所だった。
でも、こんな場所に来ても嬉しくない。
俺が嬉しいと、楽しいと感じる場所は、優茉ちゃんの隣。たった一つ。
優茉ちゃんとなら、ここの場所での気持ちも変わるんだろうな。
「はっくんは何頼む?ステーキが有名らしいからね!」
「芹香が決めていいよ」
「なんで私が決めるのさ!ほらほら、メニュー表見て。お腹すいてくるでしょっ」
ベストな位置で撮られたステーキたちは確かに美味しそう。
でも、値段を見れば気が引けてしまう。
そんなこと芹香に言ったって、構わないとでも言うんだろうな。
優茉ちゃんだったら?優茉ちゃんだったら……
「先輩は安いお肉で十分ですよね」とか?
なんか、俺の中での優茉ちゃん、毒吐いてばっかりじゃない?
これは毒じゃないのかな?愛情表現?
うーん……、改めて考えてみればなんだろう。