甘々王子に懐かれた!?
「あんな奴と私で、私が負けるなんてありえない。私にしようよ」
「何度言っても無駄。俺はお前となんかならない」
芹香呼びじゃない時は俺が本当に怒っている時。
芹香は怒ってる、と言いながらクスクス笑っている。
本当に性格が悪い。
「じゃあ、仕方ない。ユウマちゃんのところに行ってぇ……、そうね。少しお話してから痛めつけるのもありかしらね」
「やめろ!!」
俺はテーブルを叩き、芹香を睨んだ。
どうされましたか、と男の人が寄ってきたが無言で睨みつけると、どこかへ行った。
「あらあら、そんなに怒っちゃって。いいなぁ、ユウマちゃんは。こんなに思われてるんだもの」
優茉ちゃんにだけは手を出さないで。
お願いだから。
優茉ちゃんにだけは。
優茉ちゃんに、だけは―――――。
「手、出さないでほしい?ユウマちゃんに」
「当たり前だ」
俺に顔を近づけて、口角を不気味に吊り上げて話してくる芹香は恐ろしく怖い。
「じゃあ、私と付き合って。そうしたら手出さないって約束してあげる」
優茉ちゃんにだけは手を出してほしくない。
なら、俺を犠牲にするしか……っていうか、元は顔で付き合った俺が悪いんだな。
そうだ。
自業自得。この言葉がぴったりだ。
俺がお前のそばにいるだけで優茉ちゃんに危害が及ばないなら、差し出してやるよ、俺なんか。