甘々王子に懐かれた!?
【優茉side】
「いないじゃんかー!!」
真っ暗になった夜、私は叫んだ。
あれからかれこれ三時間も探し回っている。
時間は八時を過ぎた。お母さんには用事があるからと伝えてはいるものの、流石に心配しているだろう。
なんでいないわけ!?
こんな探してもいないなんて……!
店内を窓から覗いては顔を顰めての繰り返し。
こんな恥ずかしいことをして収穫はゼロ。
なんて日だ……。
もう帰ろうかな。
明日にしよう。そうだ、明日だ!明日明日。
救ってくれって言われたけど、ごめんなさい、瀬戸川先輩!
明日にします。
来た道を引き返す。よくここまで来たものだと自分で感心する。
やだなぁ。先輩の気持ちが傾いていたら。
付き合ったり……?はないよね、さすがにね!
だって、嫌いって言ってたもんね、瀬戸川先輩。
さすがのお人好しバカ先輩でも付き合ったりはしないよね……。
あーあ……。もうすぐ家だ。
もう先輩は見つからない。
明日にしようと決めたものの、やっぱりやるせない気持ちがある。
「あれは……、先輩……とセリカさん?」
前に黒くなった人影を見つけ、よくよく見てみれば、それは先輩とセリカさんだった。
こんなところで会うなんて……!
セリカさんが先輩を送ってるって感じかな?