甘々王子に懐かれた!?
私が追いかける番ですね
「だーかーらー!聞こえませんか?いつになったら、あなたは行動するんですか!」
キーンと耳の奥で痛い音がする。
目の前には般若の形相で私に詰め寄る幸。
私たちは、瀬戸川先輩のお気に入りだという人通りの少ない階段の踊り場に立っていた。
「き、聞こえておりますとも……」
耳は自慢できるほど聞きますもの。
そんな私の返しに幸はあ゛ぁ?と荒く返した。
嫌だぁ、怖いよこの人……!
「ねぇ、優茉ちゃん。君がこんなにも臆病者とは思わなかったよ……」
そして、何故か瀬戸川先輩もいる。
二人に詰め寄られているのだ、私は。
まぁ、それも私がすべて悪いわけで……?
先輩がセリカさんと付き合って、早くも一ヶ月が経った。
廊下で先輩に会うも、いつもなら元気よく声をかけてくれる先輩は夢だったのかと思うほど、避けられる。
セリカさんも週の半分は迎えに来ていて、一緒に帰っているところを窓から目撃することも多々あり。
そんなところを見て、私の心は傷ついているんだよ。
なのに、容赦なく追い打ちをかけてくるこのお二人さん。
私が、私が悪いんだけど!!