俺の恋路はいつも
「あ、おれとさなちがう」


「ほんとだー。どうしよう、ともだちできるかな」


「だいじょうぶだよ。できなかったらおれがいつもさなのとこいってあげるから」



俺は紗奈にとってヒーローになりたかったんだ。
俺がずっと守っていきたいって思ってた。
この頃はそんな意識なかったけど、いま考えたらそういうつもりでいたんだと思う。



「ありがとう!りゅうじ!だいすき!」



なんて紗奈が言うのは素直に嬉しかった。



「おれが、さなをまもってあげるから」



こんなセリフ、たかだか小学校一年生が言ったってなんの強みもないかもしれないけど。



「うん!りゅうじがいてくれてうれしいよ!」



それでも可愛い笑顔で、言ってくれる紗奈が子供ながらに大好きだった。




「よーしかえるか!」



俺が手を伸ばせば、当たり前のように自分の手を重ねる紗奈。
俺と紗奈は両思いだって信じて疑ってなかった。

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