俺の恋路はいつも
「おい、紗奈帰るぞ」


「ごめん、今日だけは先に帰ってて!」



小学5年のころ、初めて紗奈と一緒に帰れない日があった。



「はぁ?なんで?」


「ちょっとね……」



なんだか今日の紗奈はいつもよりもさらに可愛くみえて、妙な胸騒ぎを感じる。



「気になるじゃん……「篠原、掃除終わったけど」



俺の言葉よりも、俺を遮って後ろから聞こえた声に目を輝かせてるのがわかった。



「丈くん!行こう!じゃあね、竜二!」



丈の腕を掴んで、俺に手を振る。



「……なにあれ」



あんな表情のアイツ見たことなくて。
ドクンと変な感情が胸に広がる。



「告るらしいぞ」



後ろから聞こえた言葉に頭が真っ白になる。



「……は?」



紗奈が好きなのは俺だって今の今まで思ってた。



「あいつ、丈が好きなの?」


「多分気づいてないお前だけだよ」



ははっ。
バカだ。
俺が一番近くにいたはずなのに。

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