つれない先輩
色々言いつつ、テキパキ作業をこなす東先輩、格好いい。
「つーか仕事しろよ」
「?もうこれで最後の棚ですけど。」
「ちっ…仕事は早いよな」
「これも先輩への愛故ですから。」
「…」
「無視は!無視は良くないです先輩!」
こんな調子でいつも私は相手にされない。
それでも、先輩にちょっとでも揺らいで欲しくて、少しの勇気と乙女心を込めて、言葉を紡ぐんだ。
本当は、ご飯に誘うのだって、緊張してしまうのに。
「よし、今日はこれで終わりにしよう。」
実は、この言葉がちょっと嫌いだったりする。
「…はーい。」
だって、先輩との二人きりの時間が終わることを意味するから。
「東先輩、お疲れ様でしたー。」
「柴崎。」
「っはい!」
「飯は行けないけど、駅までなら歩いて帰れる。」