このままでいたいから
初恋は実らないと言う。
とは言っても、私は恋なんてしたことないし、そもそも恋愛が出来るほど余裕を持って人間関係を築けていなかったから、それの真偽を知らない。
恋愛なんて、友人から聞く話や本の中でしか触れなかったし、誰かを楽しませて関係を長続きさせるための道具程度にしか思ってなかった。
だから、中学の時の友人たちは私の初恋はとうに終わってると思っているだろう。
あの歪な噓――恋愛関係の噓――は私に付けられたレッテルを剝がせないものとした。
誰かにそんなことを言える筈も無く、噓を重ねた私は、誰かを救うことで消えた気がした。
そんな感じで迎えた高校時代のある日だった。
私は、初恋の相手である晶紀先輩に声を掛けた。
とは言っても、私は恋なんてしたことないし、そもそも恋愛が出来るほど余裕を持って人間関係を築けていなかったから、それの真偽を知らない。
恋愛なんて、友人から聞く話や本の中でしか触れなかったし、誰かを楽しませて関係を長続きさせるための道具程度にしか思ってなかった。
だから、中学の時の友人たちは私の初恋はとうに終わってると思っているだろう。
あの歪な噓――恋愛関係の噓――は私に付けられたレッテルを剝がせないものとした。
誰かにそんなことを言える筈も無く、噓を重ねた私は、誰かを救うことで消えた気がした。
そんな感じで迎えた高校時代のある日だった。
私は、初恋の相手である晶紀先輩に声を掛けた。