キミが私に恋を教えてくれた
「ただいまー」
「おかえりーお姉ちゃん」
玄関を開け家に入ると、小6の妹の優里葉が学校から帰って、ソファに座りテレビを視ていた。
「お父さん今夜も遅くなるって!今日の晩ごはんは何?」
「カレーでいい?」
「うん!やった!」
私の家は父子家庭だ。
幼い頃両親が離婚し、母が出て行った。
家の家事はみんなで分担しているが、料理を作るのはいつも私が担当だ。
部屋で私服に着替え、エプロンをつけキッチンに立った。
早く降矢君に電話しなくちゃ。
私の心は決まっていた。
彼と付き合おう。
彼を知りたい。
いつも作っている料理を、今日はヤケにスピーディーにこなす。
頭の中は降矢君でいっぱいだった。
まだ告白された現実が信じられない。
早く料理を終え、彼に電話しよう。
その一心しかなかった。