年下のオトコノコ。
見てられなくて、私はその場から走り去った。
「え、先輩!?」
水嶋くんが後ろから追いかけてくる。
「待ってください、先輩!」
走ってきた水嶋くんに腕を捕まれる。
その大きな手と強い力で、振りほどくことなんて出来なかった。
「お願い、ほっといて…!」
「先輩、何で泣いてるんですか?」
水嶋くんに言われてハッとする。
「先輩、やっぱりあの人のこと…。」
多分。水嶋くんは初めて図書室で会ったときから気付いてたんだと思う。
だから
「うん、好きだよ…。」
私は正直にそう言った。
「だから、ほっといて…。」
そう言えば、水嶋くんの手の力が緩む。