恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】

如何にも想像してぞっとしたように、東屋さんが身震いをした。
口の中で、多分これがご褒美らしいチュッパチャップスの甘いキャラメル味が広がる。



「あ、東屋さんが優しいと気持ち悪いです」



さっきの仕返しみたいに言いながら、あんまりにも優しくて涙がぼろぼろ溢れた。


すごく、怖かった。
助けに来てくれて、嬉しかった。


でも東屋さんが、責められるようなことになったらどうしよう。


私があんまり泣くものだから、東屋さんは対処に困ったのか励まそうと思ったのか、それともやっぱり、ただからかっただけかもしれない。


徐に、チュッパチャップスの柄を持つ私の手を握ると。



「一口ちょうだい」



といって、ぱくっと丸い飴を口の中に入れてしまった。


私がさっきまで舐めてた飴は、東屋さんの口の中で。
私の手は、同じく東屋さんの手の中にある。


それをぽかんと眺めていた。



「……何してるんですか」

「何って、味見。あまい」

「そりゃ、キャラメル味ですから」

「甘しょっぱい。鼻水ついてた?」

「つっ、ついてませんよひどい!!」



にや、と意地悪に笑った口元から解放されたチュッパチャップスが、私の元に戻されてくる。
私はそれを目の前に、驚いて止まってしまった涙の代わりに汗をだらだら掻いていた。

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