恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】

こ、これを、どうすれば。



「いらないの?」

「えっ! い、いりますいります! もちろん」



いりますけど。
東屋さんの目の前で、再びこれを口に入れろと?


だ、だってこれを再び味わうってことは、か、間接キスになってしまうわけで。
それを、東屋さんの見ている前で、だなんて。


じっとチュッパチャップスと睨み合ったまま固まった私の横で、東屋さんが「はっ」と鼻で笑った。


「今更」

「なっ……!」


今更!
今更って言った?!


そのワードで、歓迎会の翌朝、東屋さんとのキスを思い出してしまった私。
ぐるぐる眩暈がするくらいに顔が熱くなる。


だけど、ただからかわれてばかりなのも悔しくて。


思いきって、えいっと飴玉を口に含んだ。


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