恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
ちょっと!
昨日からいきなり、人の口の中に断りなく放り込むの止めて欲しい!


「もう一個いる?」

「もがっ、」


まだ入ってます!
と言いたいのだけど、噛む前のイチゴがまだ口の中にまるっとあってまともに言葉にならない。


「一花、ここんとこ柔らかそうだしまだまだ入るんじゃない? リスみたいに」


言いながら、頬を指で突かれた。


本当なら、胸がきゅうってなって泣きたくなるくらい嬉しいシチュエーションなんだけど。
今は口の中のイチゴが苦しくてそれどころではない。


それだけでなく、まだイチゴを構えて私の口を狙ってくるものだから、両手で口を覆って全力で拒否させていただいた。



隙を見れば私の唇を狙ってくる(イチゴで)という訳のわからない攻撃を受けつつイチゴ狩りを堪能して、制限時間一時間なんてあっという間だった。



「お腹いっぱい、もう無理!」

「結構食えるもんだなー」

「東屋さんは半分くらい私の口に押し込んで来たじゃないですか。多分私の方が倍くらい食べてますよ」



しかもどうしても私をリス顔にしたかったのか、口の中に入ってる時に狙ってくるから、「あーん」なんて可愛らしいものではなかった。
こっちは避けるか飲み込むかに必死である。


パックに残った最後の一個を口に入れようとしたとき。


殺気を感知した。
東屋さんがまた、イチゴを構えて私を狙っている。

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