恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
東屋さんの気持ちは西原さんにあるのだとわかっているのに、好きだと伝えてしまうのは、勇気がいる。
振られた時のショックに耐えられるのかとか。
その後も思い続けていたくても、東屋さんの方から一線を引かれてしまったらどうしよう、とか。
私はこんなに好きなのに、どうして少しも見てはくれないのだと、僻んでしまわない自信もない。
つまり、私は決定的に拒否されるのが、怖いんだ。
だから、言えない。
今はもう誰とも付き合っていないことも、聞かれないことに便乗して話してすらいなかった。
自分の中の好きの気持ちを、しっかり隠してしまいたかった。
「色々、あるんだけど。このままでいられればいいんだ、私は」
細かい事情を話すのは気が引けて、自分の気持ちだけを正直に言葉にした。
『さよさん』を想う横顔を好きになってしまった以上、今はそれを見ていられればそれでいい。
東屋さんの手で、私の恋を終わらせられるのが怖いから。
だけど、京介くんはそれを訝しむ。
「それって、片想いのまま? どこまで行くつもりなの」
「え?」
「そんなこと、ほんとに出来ると思ってる?」
出来るよ。
そう声に出そうとしたのに、出なかった。
京介くんの顔がやけにきっぱりとして、あり得ないと語ってたからだ。