恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
『たかが出店の土産物だろ。気にしなくていいよ。ちょっと色々あったから、俺もいい気分転換になったしな』
「そ、ですか……私も楽しかったです。でも、勿体ないことしちゃったなって……」
『買ってもらえよまた。イチゴのチャーム、子供っぽくてよく似合ってた』
「ちょっと。どういう意味ですか」
気にしない。
私にとってはとても大事な思い出で東屋さんと行ったことに意味があっても、東屋さんにとっては取るに足らないことなんだって、最初からわかってるんだから。
だけど、上手く受け答え出来ただろうか。
ちょっと、虚ろになってて自分でもよくわからない。
それから二言三言、軽口を叩いてすぐに通話は切れて、私は少し、泣いた。
東屋さんの気持ちなんて、期待しない。
期待してしまったら、その度挫ける自分にいつか負けてしまいそうな気がした。
だけど結局今日の私は確かに、後少し、後少しだけと、東屋さんとの時間を欲しがって、こんな些細なことで、いちいちショックを受けている。
いつかもっと、その欲は強くなるんだろうか。
もっと贅沢なことを、願うようになるんだろうか。
いつまで続くかわからないこの片思いと失恋のループを、どこまで続けて行けるだろうか。
東屋さんが、いつか、西原さんを忘れるまで?
その後は?
私を見てくれるとも限らないのに。
どこかで私が、折れてしまうだろうか。
変化は必ず、訪れる。
良くも悪くも、望むも望まないも。
『片想いのまま、どこまで行くつもりなの』
『そんなこと、ホントに出来ると思ってる?』
京介くんの言葉が、頭の中でいつまでもリフレインしていた。