恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】


「先週、出張に行く少し前かな。望美と東屋くんにだけ先に言ってあるの。多分今度の社員旅行までには皆に、言おうかな、とか」



と、照れながら話す西原さんを前に、私は失礼にも少し、上の空だった。


先週、出張の前。


いろいろあったしいい気分転換になった、と東屋さんが言ってたのはきっとこのことだ。


だからあんなに優しかったのかな。
ご褒美って言っていたけど、東屋さんも参っていて、本当に忘れたくなるくらい気分転換がしたかったのかもしれない。


いや、そうに決まってる。
好きな人が、自分以外の人と、結婚する。


苦しくないはずない。


イチゴ狩りの時の楽しかった思い出が、じわりじわりと苦くなる。
だけどそれ以上に、東屋さんのことが気掛かりで仕方なかった。


どうせ、多分間違いなく、余計なお世話だといわれるのだろうけど。


< 135 / 310 >

この作品をシェア

pagetop