恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
思わず立ち上がった私に、糸ちゃんが声をかけてくる。
「あ、ひとちゃん。トイレ?」
「え、あー……そう! お手洗行ってきます!」
「はいはいいってらー。ちょっと酔い覚ましに外の空気でも吸って来たら」
「そうします」
残っていた梅酒を、ぐっと煽って空にする。
勢いをつけて行かなければ、気持ちが萎えてしまいそうで。
二人を見つけたところで、どうすればいいだろう?
なんて声をかければいいだろう。
何も見つからないまま、行き当たりばったりを覚悟して、急ぎ足で外に出た。
宴会場を出て、通路にはもう二人の姿はない。
不安を駆り立てられながら急ぎ足でロビーまで行くと、そこで池内さんの後姿を見つけた。