恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「あの、池内さん。すごく、探してましたね」
そんな風に様子を伺ってしまう自分が、すごく性格が悪いような気になって耳が熱くなる。
暗くて良かった、きっと私は今酷い顔をしてる。
「あー……」
返事にちょっと、間が空いた。
耳に聞こえるのは、がしがし、と頭を掻く音。
「……そんな悪い子じゃないんだけどな」
「そうなんですか」
「ああいう時期はめんどくさいな」
「はあ……。時期?」
疑問がぽろっと口に出る。
彼の言葉の選択やニュアンスで、なんとなくだけれど、東屋さんと池内さんの間にそれなりの親しさが感じられて。
少し、胸が焼け付いた。
「何気にしてんの」
「きっ、気にしてっていうか。積極的な人だなあ……てっ?」
ふ、と笑った気配がしたと思うと、急に立ち止まったのに気付くのが遅れて、トン、と東屋さんの腕にぶつかった。
手を繋いだまま寄り添ってるみたいに近くなってしまって、慌てて後ろに下がろうとしたけれど。
くん、と瞬間手を引かれて、引き留められたように感じた。