恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
すっかりゆでだこになった私を置いて、彼は昨日一緒だった人達の元へ戻っていく。
取り残された私は、ぷるぷる震える唇で随分後になってから彼の言葉を反芻した。
「き、今日の、夜」
そうだ、今夜。
イチゴの、チャームを……取りに行かなくちゃいけないのだ。
真赤になって熱い顔と覚束ない足取りで、ふらふらと西原さんと柳原さんの元に戻ると。
二人が慌てて、私に言った。
「ちょっと! 良かったのに、私はさよと二人で回るから!」
「そ、そうそう! 遠慮しないで、」
「い、嫌です無理です窒息します!」
今すぐにでも撤回しに追いかけろ、と言わんばかりの二人に、私は一緒に回らせてくれと泣きついた。
このままじゃ頭がパンクしてしまう。
とてもじゃないが、朝から東屋さんと二人で今夜まで身がもたない。
大体、普段から東屋さんの塩対応で鍛えられてるのに。
いきなり濃度たっぷりのハチミツに漬けられては、どうしたらいいのかわからない。