恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「あっ!」
間違いなく、あの日失くした、イチゴのチャーム。
急いで両手を出すと、赤いガラスのイチゴとコットンパールがシャラと音を立てて手のひらに落とされた。
「良かった……すっごい、探したんです……」
「……大したもんでもないのに」
「大事なんですっ」
もう見つからないだろうと諦めていたから、本当に嬉しい。
大事に両手で包んで、思わずキスしてしまったくらい嬉しい。
しばらくそうしていると、つ、と頬を指で撫でられ、そのまま顎を擽られ誘われるように顔を上げた。
ちゅ、と一度啄まれてから、様子を伺うように何度も小さなキスが繰り返される。
少し間を空けて、彼が私の横髪を指ですきながら耳にかける。
その指が、まるでついでのように私の耳を上から下まで辿って、ぞくぞくと肩が震えた。
「今日は、うちに泊まる?」
靄でかすんだようにぼんやりと頷く、その間も瞼や頬にキスが降る。
だけど。
「じゃあ先にシャワーしてゆっくりしようか」
途端に、ぴきっと固まる私。
シャワーと聞いただけで、その先を促されたように感じた私は、意識し過ぎなんだろうか。
東屋さんの顔が、可笑しそうにくしゃっと歪んだ。
「色々言ったのは冗談。いきなりそんながっつかねえよ」
「えっ?」
「まあ、味見はするけど」
あ、じ、み。
引き続き固まったままの私の唇は、呆気なく深いキスで奪われる。
どこからどこまでが味見の行為なのか、私には判断が出来ない。