恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
極力、優しく触れようとしてくれているのは指先から伝わる。
だけど、胸を包み込むように温もりを感じたとき、思わずもれた溜め息の甘さに恥ずかしくて泣きそうになった。
唇から首筋を辿って降りていくキスが、鎖骨にたどり着いた頃には。
いつのまにか全部たくしあげられたシャツが、胸元でまとめて東屋さんの手に握られていて。
「ひゃっ」
ぐい、と頭の上までまくりあげられ、シャツに引っ張られて両腕も万歳するように持ち上がる。
「やっ……、やだ、」
胸元の肌が彼の視線にさらされた、その瞬間から誘惑も何も、私に何一つの余裕もなくなった。
何をどうすればいいのかわからない。
まだ何もされる前から、肌が震える。
隠そうにも腕が頭上でシャツと一緒に抑えられてて、抜け出す力もない。
東屋さんの目がわたしを見上げた。
熱の籠った視線に、ぞく、と背筋を走るものがある。
彼も、こんな余裕のない表情をするのだと知ったとき、言い様のない愛しさが込み上げた。
怖い……けど。
や、とかじゃ、なくて。
激しい鼓動を聞きながら、ただじっと、その綺麗な唇が胸元に触れるのを、見ていた。