恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
一分経ったのか経ってないのか、ものの数秒でキスに融かされてしまっていた私には、計る余裕などなかったわけで。
職場にあってはならない濃厚な一時は、がらりと再び開いた扉の音と彼女の声で強制終了される。
「おはよー、一花さん今日は早かっ……」
「ひうっ!!」
驚いた拍子に変な悲鳴を上げて固まる私、東屋さんもさすがに顔を上げ扉に目を向けた。
そこには、顔を真っ赤に染めた西原さんが立っていて、目が合った途端そよそよと視線を泳がせた。
「ご、ごめん。邪魔する気はなかっ……あ! あ、私花瓶の水を替えに」
「邪魔じゃないです! 邪魔じゃないです西原さんおはようございます!」
っていうか今オフィスに花が生けてある花瓶はないですよね!
どん!
と胸を突いて、慌てて東屋さんの捕獲網から抜け出した。
「おはようございます、さよさん早いですね」
「いや、あなたたちこそ早いね……」
慌てふためく女二人を前に、東屋さんはしれっとしたもので。
つい。
そう、つい、西原さんと話す横顔を見てしまうのは、もう癖のようなものだ。
良かったのかな。
こんなとこ、見られたくなかったんじゃないのかな。
その表情から窺い知ることは出来なくて、ただ、少し身体は離してもまだ背中に触れたままの手がこれで良いのだと言ってくれている気がした。
「あ、そうだ。二人とも、招待状がもう着く頃だと思うんだけど……良かったら、ぜひ」
挽き立てコーヒーを西原さんが淹れながら、少し照れ臭そうに言った。
「あ! 結婚式ですか? 行きます、いつですか?」
「九月の第二日曜。お腹が目立たないうちにと思って……あ。アイプチはやっぱりやめとくことにした」
「あれって結婚式に向けてってことだったんですか?」
「あはは、だって私顔地味だしせめて式の時くらい、と思ったんだけど、やっぱ慣れないからやめた」
職場にあってはならない濃厚な一時は、がらりと再び開いた扉の音と彼女の声で強制終了される。
「おはよー、一花さん今日は早かっ……」
「ひうっ!!」
驚いた拍子に変な悲鳴を上げて固まる私、東屋さんもさすがに顔を上げ扉に目を向けた。
そこには、顔を真っ赤に染めた西原さんが立っていて、目が合った途端そよそよと視線を泳がせた。
「ご、ごめん。邪魔する気はなかっ……あ! あ、私花瓶の水を替えに」
「邪魔じゃないです! 邪魔じゃないです西原さんおはようございます!」
っていうか今オフィスに花が生けてある花瓶はないですよね!
どん!
と胸を突いて、慌てて東屋さんの捕獲網から抜け出した。
「おはようございます、さよさん早いですね」
「いや、あなたたちこそ早いね……」
慌てふためく女二人を前に、東屋さんはしれっとしたもので。
つい。
そう、つい、西原さんと話す横顔を見てしまうのは、もう癖のようなものだ。
良かったのかな。
こんなとこ、見られたくなかったんじゃないのかな。
その表情から窺い知ることは出来なくて、ただ、少し身体は離してもまだ背中に触れたままの手がこれで良いのだと言ってくれている気がした。
「あ、そうだ。二人とも、招待状がもう着く頃だと思うんだけど……良かったら、ぜひ」
挽き立てコーヒーを西原さんが淹れながら、少し照れ臭そうに言った。
「あ! 結婚式ですか? 行きます、いつですか?」
「九月の第二日曜。お腹が目立たないうちにと思って……あ。アイプチはやっぱりやめとくことにした」
「あれって結婚式に向けてってことだったんですか?」
「あはは、だって私顔地味だしせめて式の時くらい、と思ったんだけど、やっぱ慣れないからやめた」