恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】

唇を擽るように触れ合わせて、もどかしいほどの軽いキス。
一瞬だけ舌先が絡まって、離れていくのが酷く寂しい。


それが全部、顔に出ていたようで。


「んな顔しないの。仕事に戻れなくなる」

「ご、ごめんなさい」

「続きは夜ね」


きゅっと片腕で頭を抱き込まれ、額にキスをすると、今度こそすーっと身体が離れていった。
そして自分一人だけさらりと仕事の顔に戻ってしまう。


「ちょっと顔冷ましてから戻れよ」


と私の真赤に火照った顔を指摘して、給湯室を出て行った。
ふにゃふにゃと腰砕けになった私を残して。


反則だ。
ちょっと、そう簡単にこの熱い顔は治まらない。


両手で顔を覆ったら、やっぱりかなり熱かった。
ほう、と溜息をついて、ついさっきのキスを思い出してしまう。


さっきに限らず、あの夜から。
東屋さんは、今まで以上に、すごく優しくなった。


時々ちらっと塩対応的な意地悪が仕事上で出てくる時もあるけれど、その後はとびきり甘く優しくなる。


すごく、大事にしてもらってることを、言葉だけでなくちゃんと表情や肌で感じる。
こんな贅沢な幸せってないと、毎日実感してる。


こんなに幸せでいいのかなあって、考える間もなく次から次へ幸せエッセンスが降り注いで、愛されてるなぁと心底から信じられた。


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