恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】

週末。
旅館はやはりどこもいっぱいで諦めて日帰りか、と思いかけてた頃。


取引先である地方の工務店にダメ元でそれとなく話題を振ってみたところ、伝のある旅館に口利きしてくれた。
旅館には必ずキープしてある部屋があるそうだ。


海からは少し離れたら旅館になるけど、車で三十分程度だし日帰りするよりはずっといい。


待ち合わせの時間短縮に金曜の夜から紗世をうちに泊めて、朝早い時間から車で四時間のドライブ。


最中、ずっとはしゃぎ通しの紗世だったが、海を目の前にしてテンションは最高潮となった。



「東屋さん! 海です!海!」

「海だね。綺麗なとこで良かった」


海水浴場に着いて、荷物を降ろして砂浜に足を踏み入れる。



「すっごく真っ青! 天気良くて良かったですね、水面がキラキラしてます!」



言いながら、紗世の目が一番キラキラしていた。
こんだけ喜ぶなら、来た甲斐がある。


朝九時の到着は早い方だろうと思っていたのに、もう早砂浜には場所取りをしているパラソルや簡易テントがあった。


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