恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】

パラソルを設置し終えてもまだ連絡はなく、海の家まで戻ろうとしていると携帯が鳴った。


「紗世、着替えた?」

『着替えました! 東屋さん、飲み物スポーツドリンクでいいですか?』

「……移動したの?」

『海の家から動いてないです! 暑いから飲み物買おうとしただけで……』

「今行くからそこに居て」



子供じゃないんだし、心配のしすぎなのかもしれないが。
こと、慣れた土地でないところだ、多分もう車を停めた駐車場すら方角もわからなくなってるだろうし。


心細いんじゃないだろうか、とか。
いや、呑気に飲み物買おうとしてるんだけど。


足早に海の家まで来て、紗世の姿を探す。
さすがにシーズン真っ最中、僅かな時間にまた人が増えたような気がする。


その中で、売店の傍ですぐに見つけることは、出来た。


飲み物を買おうと順番待ちしてるのだろう。
後ろ姿では、キャミもちゃんと上から着ているようだし白がベースだということぐらいしかどんな水着かよくわからない。


ただ、髪をアップにして顕になってるうなじが気になった。
先に飲み物を買った男二人組が、前方から後ろを振り向きながら歩いてくる。

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