恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「やべ、後ろに並んでた子、めっちゃ可愛い」
「見た! どうする、ちょっと待って声かけてみる?」
「待つな、とっとと散れ」
すれ違いざまにそう言った。
真直ぐ紗世に近づくとちょうど飲み物を買い終えた彼女がこちらを振り向き、売店の列から抜け出す。
手にオレンジジュースとスポーツドリンクのペットボトルを持って、俺に気づくと満面の笑みを浮かべた。
「東屋さん!」
一方、俺はぎゅっと眉間に力が入ったのが自分でもよくわかった。
白いビキニの上に、確かにキャミソールのようなものを着ている。
着ているが、レースの薄いそれは肌の露出は少なくとも男の目から見て余計な色香が演出されて……つまりエロい。
男と女では感覚が違うのかもしれないが。
これを『可愛い』と判断するのか。
「東屋さん、スポーツドリンクで良かったですか?」
「ああ、うん。ありがとう」
駆け寄ってきた彼女にそう答えたが、目はどうしても水着に向けられるわけで。
無意識に険しい目をしていたんだろう、紗世が不安そうに表情を曇らせた。
「あ……変ですか?」