恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】


「いや、変っていうか」

「去年友達と買いに行って、可愛い可愛いって大騒ぎして買ったんですけど、テンション上がり過ぎてたので……似合わないですか」



いや似合わないわけはない、寧ろ可愛いというのも確かなのだけど、寧ろ可愛いのは水着を着て嬉しそうにしている彼女であって水着に関して言えば……いや、でも非常識に露出が多いってわけでもないのに、文句をつけるのは難しい。


ただちょっと、男目線で言えば、二回言うがエロい。


しかし、しゅん、と消沈する彼女を見れば。


「……いや。可愛いよ」



これしか言葉が出ないわけで。
本音としては、可愛いけどちょっと気が気じゃない、それゆえに。


「ほんとですか?」

「うん」


とか会話しながら、俺が取った行動は言葉とは裏腹だった。


ついでに着替えようと持ってきておいたバッグの中から、パーカーを引っ張り出すと後ろから彼女の肩に引っ掻ける。
それから、彼女の手からペットボトルを二本とも引っこ抜く。



「手、通して」

「えっ?」

「袖」


訳がわからずきょとんとしているところを促して、ちゃんと袖を通させると。
合わせのジッパーをきっちり上まで引き上げた。



「え、なんで」

「うん可愛い」

「ええっ!?」



男物のパーカーだからダボダボだが、それでもさっきのまま放り出すよりいい。


おちおち着替えてられないだろ。
しまった、俺が先に着替えときゃ良かった。



「酷いですそんな隠さないといけないほど変ですか!」

「違うけど俺が出てくるまではとりあえず着てて」



頼むから今だけちょっと言うこと聞いて。


これ絶対、周囲からは白い目で見られてんだろうな。
どんだけ心配性の彼氏なんだと。

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