恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】


「ふあっ!?」


突如、素っ頓狂な声が聞こえて、紗世が腕の中に飛び込んでくる。
顔から海水に突っ込みそうなところを、浮き輪と上半身を辛うじてキャッチした。


「すみません!」


とシャチに乗った小学生くらいの兄弟がおろおろしながら謝ってくる。
どうやらシャチを象った浮き具に乗って遊んでいて、紗世の背中にぶつかったらしい。


「大丈夫」


と、紗世が笑って手を振るとそそくさと方向転換していった。


「シャチに襲われちゃいました」

「……もう少し深いとこいく? ここら辺人が多すぎ」


上半身が濡れたことで気付いた。
いや、海水浴なんだから濡れて当然なんだが、ぴったりとはりついたキャミソールが、ちょっと人には見せたくない。


< 260 / 310 >

この作品をシェア

pagetop