恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
さっきの僅かな表情や今のこの会話が、何かしら彼女の不安を現しているような気がして、かといって何を言えば安心させてやれるのか。
ざ、と波の音を聞きながら、俺は今、自分が思ったままのことを、言ったつもりだ。
「来年は、ちゃんと計画立てて来ようか」
「え?」
「旅行」
別に、海でなくてもいいのだが、彼女が笑うなら。
「来年も、その次も」
来年もその次も、一緒に居たい、そう思っていると伝えたつもりだけれど、わかってくれただろうか。
じっと彼女の目を見つめていると、少し目が潤んで見えたのは、気のせいだろうか、それとも海水のせいかもしれない。
「はい!」
と、はっきりと答えて、それは幸せそうに、まるで花が咲くように笑ってくれた。