恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
大事にしてもらってるとちゃんと伝わってる。
好きだと言ってくれた。その言葉を疑ったことはない。
だけど、比べてしまったならどんな答えを彼は出しただろう。
私とさよさん、どちらが好き?
遠ざけようとする彼に、慰めでもいいと近づいたのは私の方だ。
だから、聞けなかった。
「ずっと、考えてしまうんです。もし、西原さんが結婚したりしなければ、私たちは……どうなってたのかな、て」
思えば胸に渦巻くのは、聞いちゃいけないことか困らせることばかりだ。
だって、答えようがないことだ。
もしもの話なんて、確かめようがないことを聞くのは狡い。
きっと、今でなければ一生言えなかった。
胸に引っ掛かっていたものを吐露して、はあと息が漏れる。
私の頬をずっと撫でながら聞いてくれていた彼が、沈痛な、とても辛そうな目をして言った。
「ずっと考えながら、ここに来た。何を言えば、一番安心させてやれるのかって」