恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
何を言われれば安心できるのか、私もわからない。
ただ、時間をかけてゆっくりと、ふたりで幸せな日々を重ねたら、いつか笑い話になる。
それで良かったのに、こんなことになってしまった。
泣くしかできない私の頬を、包み込む彼の手を、体温を、もっと感じていたいと目を閉じる。
感じていれば、不思議と少し安心できた。
「気休めは言わない」
そう言うと、彼はゆっくりと私を引き寄せ、私の額が彼の肩にぶつかった。
両腕が私の肩を抱き、徐々に力が込められる。
私が離れていかないように、繋ぎとめるかのように。
「始まりは、酷く複雑だった。でもこれだけは言っとく。代わりにしたことなんて、一瞬もない。そのための区切りだったよ」
本当かな?
私を安心させるためかな?
卑屈な感情が頭を掠める、それを温かい体温が掻き消していく。
話の先を聞くのが怖くて、私はその体温にすがりつく。