恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
ああしなきゃこうしなきゃとか、主人公や相手役の行動が気になって仕方がない感覚。
あんなに一途に想う気持ちが報われないはずはないんだから、と。
そう信じて、安心したい感覚。
確かに、物語を読む時の感情移入に似ているかもしれないけど。
「…………一度振られたくらいで、諦めることはなかったんじゃないですか、って。だからもどかしいというか消化不良なんです」
「……あのなあ」
「だって私が気付くくらいですよ、気持ちダダ漏れじゃないですか。全然終われてない」
軽くあしらわれたことに腹を立てているのか、それとも無関係と言われたことがショックだったのか、自分でもよくわからない。
ただ、相変わらず思ったことがぼろぼろ零れるこの口は、止まらなかった。
「……もう一度言うぞ。お前に関係ない」
「関係ないですよ、ないですけど」
毎日、焦がれるような横顔を見せられて、それが全部、叶わない上での気持ちなんて思いたくなかった。
だって、そんなのすごく苦しい。
苦しいのは東屋さんだ。
あれ、じゃあ私はなんで今苦しいんだ。
胸が痛いんだ?
その答えが出ないまま、痛みに耐えかねた私の矛先は別の方角へ向かった。