恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
『部長は呆れてたけどね、相変わらず喧嘩っ早いって』
「す、すみませんっ……!」
感動してる場合じゃない。
心配やらご迷惑やらいろいろかけてしまった、と慌てて謝る。
電話口からは、楽しそうな笑い声が聞こえていた。
「相変わらずって、前にも社内で喧嘩するようなことあったんでしょうか?」
『うん? どうかな、部長が何を思い出してそう言ったのかは私も聞いてないけど……あ。ごめん、そろそろ切るね』
「あ、はい! 本当にすみませんでした!」
多分、西原さんもまだ藤堂部長と一緒にいたんだろう。
もしかしたらふたりはもう一緒に住んでるのかな?
とにかく、唐突に通話は終了して、結局東屋さんがどんなふうに私のことを話していたのか、聞きそびれた。
でも、なんだかもう、確かめる必要もない気がした。勿論、聞いてはみたいけれど。
かちゃ、と寝室の扉が開いて、頭に乗せたタオルで髪を拭きながら東屋さんが入って来た。
上半身は裸のままだ。
「西原さんと連絡取れた?」
「はい」
彼がベッドに近づいてくる。
立ち上がって彼の顔を確かめれば、左頬が微かに赤く、小さな傷が付いていた。