恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
えっと、えーっと。
下の名前で、呼び捨てじゃなくてもいいから糸ちゃんより親し気に?
考えようとするのだけど、東屋さんの手が私の胸に触れてみたり腰を撫でてみたりと邪魔をする。
邪魔するくせに、唇は最初に軽く啄んだだけで後は耳や頬に口づけてばかりだ。
いつもなら、もっとたくさんキスしてくれるのに。
なんだか、いつでも言えるように敢えて避けてるみたいな気がする。
「か、かず……ふぁ、あ」
言いかけたところで、胸を強く摘ままれた。
「紗世、まだ?」
「も、もうっ! やめて、あ、やっあ、」
ちゅ、と耳朶を舐められながら、胸を優しく弄られる。
くすくすと含み笑いと同時に、耳の中に吐息が触れて、びくんと腰が跳ねた。
私はたまらず、悪戯ばかりする彼の手首を掴んだ。
「あ、遊んでるっ!」
「うん」
私の首元から顔を上げて、彼は悪びれもせずに笑って見おろす。
むっとしたのでそれを下から軽く睨んで見せながら、意を決して声にした。
「……かずくん、意地悪」
恥ずかしすぎて、泣きそう。