恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
せっかく名前で呼んだのに、彼はぴた、と表情の動きを止めてしまった。
なんで。
かずくんはダメだった?
あまりに反応がないので、居た堪れなくなって尚更頬が熱くなる。
自分で考えてとか言ったくせに、気に入らないとか酷い。
だったらかずぴょんとかかずっちとかにしてやる、と口を開いた。
「いやだったら、んんっ」
途端に塞がれてしまった唇。
しかもすぐさま深く舌を絡め取られてしまう。
驚いて身体を強張らせると、手首を掴まれシーツに押し付けられた。
そして僅かに、離れると。
「嫌じゃない。もっと」
と、催促するように、鼻や瞼にキスをする、彼の目も吐息もいつのまにやらすっかり熱い。
「……かずくん?」
「ん。紗世……」
「かずくん」
深く浅くを繰り返すキスの合間に、互いに名前を呼びあって、腕を絡ませ抱き合った。