恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
恋を知る夜
◆
私は一体、東屋さんに何を求めているのだか。
無関係な癖に、無神経なことばかり。
ただ、見ていて苦しい胸の内を、上手く処理する方法を知らなかった。
だからといって、なんの言い訳にもならないけれど。
テーブルの上から床に落ちた筆記用具を拾い集めて、ペンケースに入れた。
歪んだテーブルと椅子を整えていたら、ノックの音てびくっと肩が跳ねる。
「一花さん、終わった?」
ひょこっと顔をのぞかせたのは、西原さんだった。
「あ……、お疲れ様です」
「お疲れ様ー。もう定時回ったから、皆ぼちぼち店に向かっててね。一花さん場所わからないだろうから一緒に……」
西原さんが、すごく優しい。
可愛い笑顔がまっすぐ私に向けられていて、だけど言葉の途中で驚いた表情に変わった。
「一花さん?! な、なんで泣いてんの?!」
「ずびばぜん……」
西原さんは、凄くいい人なのに。
さっきは、嫉妬したりしてすみません。
あんまり西原さんが邪気なく優しくて、その分自分がすごく悪いことを言った気がして、申し訳なくて涙が零れた。
「なんで? 何かあった?」
なんで?
私だってわからない。
あんなに一途に想われていることが、西原さんが羨ましかったのかもしれない。
私には京介くんがいるのに人を羨ましがるなんて、とまたひとつ自己嫌悪の種が落ちる。
だけど何か、根本的に何かが違う気がした。
私が京介くんを好きだと思う気持ちと、東屋さんが彼女を思う気持ちとは、同じ好意の筈なのにまるで違う。
重み?
深さ?
わからない。
私は一体、東屋さんに何を求めているのだか。
無関係な癖に、無神経なことばかり。
ただ、見ていて苦しい胸の内を、上手く処理する方法を知らなかった。
だからといって、なんの言い訳にもならないけれど。
テーブルの上から床に落ちた筆記用具を拾い集めて、ペンケースに入れた。
歪んだテーブルと椅子を整えていたら、ノックの音てびくっと肩が跳ねる。
「一花さん、終わった?」
ひょこっと顔をのぞかせたのは、西原さんだった。
「あ……、お疲れ様です」
「お疲れ様ー。もう定時回ったから、皆ぼちぼち店に向かっててね。一花さん場所わからないだろうから一緒に……」
西原さんが、すごく優しい。
可愛い笑顔がまっすぐ私に向けられていて、だけど言葉の途中で驚いた表情に変わった。
「一花さん?! な、なんで泣いてんの?!」
「ずびばぜん……」
西原さんは、凄くいい人なのに。
さっきは、嫉妬したりしてすみません。
あんまり西原さんが邪気なく優しくて、その分自分がすごく悪いことを言った気がして、申し訳なくて涙が零れた。
「なんで? 何かあった?」
なんで?
私だってわからない。
あんなに一途に想われていることが、西原さんが羨ましかったのかもしれない。
私には京介くんがいるのに人を羨ましがるなんて、とまたひとつ自己嫌悪の種が落ちる。
だけど何か、根本的に何かが違う気がした。
私が京介くんを好きだと思う気持ちと、東屋さんが彼女を思う気持ちとは、同じ好意の筈なのにまるで違う。
重み?
深さ?
わからない。