恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】


「遊園地とか映画とか色々ですよ」

「映画趣味なんだ? 俺も結構、食わず嫌いなしで色々見るよ。一花さんはやっぱり恋愛映画とか?」


本当は、デートなんて入社してからできてない。
遊園地も映画も、付き合い始めてから入社までの短期間に一回ずつ行っただけだった。


「アクションものとかですね」


京介くんと行った映画を思い出して、そう答えた。
ちくっと胸に罪悪感が蘇る。
折角誘ってくれたのに断ってしまって、結局京介くんとはあれから予定が合わずだ。


上手くは運ばない、何かとタイミングが悪いものだな、とつい溜息が落ちた。


その後もいくつか話をしていたけれど、どうも向かいの二人は下心が見え隠れして私の返答は自然素っ気なくなる。


こうなると男の人はいつのまにか退いていくのだけど、いつまでも食いついてくるのは糸井さんだった。



「東屋と組んでどうだった? なんかこき使われてたろ」

「いえ全く。メモ代わりになってただけで」

「ふぅん…………
 
 で、彼氏いるの?」

「居ます。ってさっきその話題出たじゃないですか」



以前聞かれた時も含めると三回目だ。
忘れてるわけはないだろうに。



「ただの牽制だといいなーと思って」

「本当です。糸井さんこそ彼女いるんですか」

「居るよ」



いるのかよ!
立ってたらこけそうになるとこだ。


だけどどうやらただ揶揄われているだけなのだろうと、少しほっとした。


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