恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
そんな話したのかな?
した覚えないけど、覚えてないだけなのかな。
「ってか酔いつぶれた女の子をアカラサマに下心丸出しの男性社員に送らせるとか無理だから」
「そうそう。コイツなんかいきなり彼女持ちになってたし」
「え。やだな嘘じゃねえよホントだよ」
何。
どういうこと?
なんか空気的に糸井さんが皆に冷やかされてるのかディスられてるのか、とりあえず一番傍で聞こえるのは、糸井さんの声だ。
どうやら糸井さんにお持ち帰られようとしているのか、私は。
頭はしっかり働かないけど、迷惑をかけているのはわかる。
なんとかしなければ、と自分の足でちゃんと立とうと脱力した足に気合をいれた。
糸井さんの手を解こうとするのだけど、中々手に力が入らない。
なんとかもがこうとした時だ。
もう片方の腕を誰かに取られて、ぐいっと引き寄せられた。
いたたたた痛い痛い。
何これもしかして、彼女は俺が、いや俺が、の展開なの?
こんな泥酔してどこでゲロ吐くかわかんないような面倒なの取り合うなんて物好きだな。
一体誰だよ、と訝しんでいたのだけれど。
「俺が送る」
糸井さんの反対隣りから聞こえて来た声に、まさかと耳を疑った。