恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
会話することを避けて、そこ、と指差された辺りのベッドの足元を覗く。
確かに私のバッグが置いてあって、開いたところから中の携帯がチカチカと着信ランプを点滅させているのが見えた。
なんとなく……誰からの着信かは予想が付いた。
携帯を取り上げて画面をタップする。
予想は付いていたけれど……着信回数の多さに驚いて指で画面をスライドさせると、京介君の名前がずらりと並んだ。
ラインのメッセージも幾つも入っている。
見ると、夜九時頃から着信は続いていた。
サイレントにしたままだったから全く気付いていなかったけれど、最初は一時間とか三十分置き、だけど深夜回る頃から数分おきに着信履歴が残されている。
メッセージには『やっぱり会いたいから迎えに行こうか』とか『まだ終わらない?』とか『今どこ』とか。
『家の前で待ってる』
とか。
やってしまった、と溜息が出た。
二時頃に一度着信が途絶えて、それから朝の六時にまた。
会えない、とは伝えてあったけれど……まさかそれでも時間を合わせようとしてくれていたなんて、思いもしなかった。