恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
その後午前中は東屋さんに付いて回って、昼休憩は他の女性社員といけるように、と配慮してくれた。
いつもはみんなそこまで一緒じゃないそうだけど、今日は私の初顔合わせもあることだし、とぞろぞろと社員食堂に向かう。
主に、西原さんともう一人仲が良いらしい柳原さんという先輩が、あれこれと私の話し相手をしてくれた。
「営業の男どもが早速歓迎会の打診に来てたわ」
「反応はやっ!一花さん来た時に、そうなるだろうとは思ったけどねえ」
あからさまだな、とみんな楽しそうに笑う。
その印象で、この職場は対人関係は良さげだとまた一つ、安心材料を確保。
「一花さん、彼氏いるの?」
「はい、一応」
「あー! 残念男子撃沈!」
私はどうも、男受けする顔をしているようで、第一印象でもてはやされることが多い。
まあ所詮人間中身なので、付き合いを重ねるごとにそんなものは然したる意味を持たなくなることが多いけれど。
「えー、ひとちゃん彼氏居るんだ」
突如聞こえた男の声に顔を上げると、ランチプレートを持った黒髪短髪細目に眼鏡が立っていて、空いていた私の隣に座った。
「糸井さん」
「あ、やった。覚えてくれたんだ」
「はい、もちろん」
今日話した社員さんの中で、黒髪短髪細目に眼鏡は彼しかいなかった。